

こちらのページは、アンティーク家具の様式や木材などあまり身近ではないものを簡単にご理解頂けるよう作っております。
写真と説明文で出来るだけわかりやすいようにしておりますが、もし、もっと細かなディテールなどを知りたい場合はブログでもご紹介しておりますのでお気軽に御覧ください。
全ての文章の責任は私にありますことも併記致します。



ルイ14世様式 1643-1715
ルイ14世様式は1643年から1715年まで続きました。
3つの大きな時代に分けられます。1643年から1656年まではトランジション様式(変遷期)と呼ばれルイ13世様式からルイ14世様式の期間を指します。
次に1656年から1700年までがピュアルイ14世様式と呼ばれる期間になります。
3番目が1700年から1715年までになりますが、こちらはレガンス様式となります。
ピュアルイ14世様式期間の1656年から1700年までは非常に豪華で、印象をどれだけ与えられるかを考えられています。
アップライトや横材は隠されるようになる代わりに、化粧材がより多く使われるようになっています。
この時代で重要な人物はAndré Charles Boulleに間違いはありません。
彼は銅、コクタン、角、べっ甲、真珠貝、アイボリーなどを使用していました。
彼は初めてカーブしている銅を家具に使い始めました。
この様な威厳ある家具は主にパリで作られました。地方においてはガッチリとした木材を用い、カービングで装飾された家具が作られていました。
引用元:“Traité d’ébénisterie" by Lucien Chanson, 196~207ページより


Régence様式 1715-1723
レジアンス様式はルイ14世様式からルイ15世様式の遷移期間の様式になります。
歴史的にみればルイ14世が逝去された1715年からDuc d'Orleansが亡くなった1723年までとなるのですが、ルイ14世が亡くなる前の1700年から1723年までがレジアンス様式と呼ばれます。
ルイ14世様式に比べ気品さは抑えめになりました、しかし、幻想的、自由なデザインが使われるようになりました。
家具の前面部、横に曲線が使われています。
引用元:“Traité d’ébénisterie" by Lucien Chanson, 208~213ページより


ルイ15世様式 1723-1750
ルイ15世様式の家具は1723年に始まり、1750年まで続きました。
このルイ15世様式では、新しいデザインを求めて、今までのアンティーク家具にないものが作られ始めました。
曲線や波打つ形が正面やサイドに使われています。
脚部はより洗練されたデザインとなり弓なりに反っています。
非対称のデザインもこの時代の特徴となっており、モチーフとして使われている貝やアカンサス、花、ローリエ、ヤシなどから見ることができると思います。
このような特徴からルイ15世様式の家具はスラリとした軽い印象がもてます。
(この項では家具について触れており、建物や内装とは違うことがあります。
引用元:“Traité d’ébénisterie” by Lucien Chanson, 215~232ページより)


ルイ16世様式 1750-1785
ルイ16世様式の特徴は直線への回帰になります。
芸術家たちが、古代の物や自然からインスピレーションを受けたことに始まります。
このルイ16世様式は大きく2つに分けることが出来ます。
1750年から1774年までがTransition変遷期と呼ばれています。
変遷期には幾何学的な形へと変わっていきましたが、脚はまだカーブを描いていました。
1774年から1785年までを純粋なルイ16世様式と呼びます。
純粋なルイ16世様式期、後期には、幾何学的なたちと直線的なデザインが多くを占めるようになりました。
引用元:“Traité d’ébénisterie" by Lucien Chanson, 235~248ページより

ルイ16世様式ソファ Transition(Havard, page 547, Tome I)

Bonheur du jour ルイ16世様式 Transition(Lucien Chanson, "Traité d’ébénisterie" page 242 )

ルイ16世様式 チェスト Transition (Lucien Chanson, "Traité d’ébénisterie" page 235 )

ルイ16世様式 チェスト(Havard, page 934, Tome I)

ルイ16世様式アームチェア(Havard, page 654, Tome II)

ルイ16世様式脚(Storck, page 452)


Directoire様式 1785-1800
ディレクトワール様式はルイ16世様式とエンパイア様式の間にありました。
優雅な曲線とルイ16世様式のの直線が融合しています。
この時代のアイテムは、落ち着きがあり、エレガントです。
この時代独特なものとしてシートが挙げられます。
引用元:“Traité d’ébénisterie" by Lucien Chanson, 250~256ページより


Empire様式 1800-1830
エンパイア様式(帝政様式)は1800年頃に始まり1830年頃まで続きました。
この年代はナポレオンやルイ18世そして彼の兄弟であるチャールズ10世が含まれます。
家具のデザインはたくましく、少し重く、そして堂々とした印象に変わりました。
主に四角や立方体の形が使われています。
曲線をえがいた銅などがデコレーションに使われていることも特徴と言えます。
レストレーション時代(1815〜1830年)には、形がディレクトワール様式につか付きました。
銅などの使用がなくなり、組木細工がかわりに使われるようになりました。
引用元:“Traité d’ébénisterie" by Lucien Chanson, 250~262ページより


ルイ・フィリップ様式 1830-1848


アンティーク家具のベーシックなメンテナンスについて
私がアンティーク家具の仕上げとして使っている塗料は、全て天然素材のものです。アンティーク家具そのものへのダメージが少なく、もちろん人の体にとっても優しいものですが、それ故の弱さ、繊細さもあります。 以下にそれぞれの仕上げ材によって注意するべきことを記しました。 ワックス仕上げのアンティーク家具は、綺麗な布などで週に一度は埃を払えば良いでしょう。1年に1度か2度、ワックスを塗りなおします。水や飲み物、そのほかの液体をこぼしてしまったときは、すぐにふき取り乾かします。 エタノールベースの伝統的なニスで仕上げてあるアンティーク家具については、アルコール類(化粧品などもアルコールが使われているものが多くあります)の液体をこぼしてしまうとすぐに型がついてしまうので十分注意します。熱にも大変弱い素材ですので、熱いものを置くときは必ず遮熱できる敷物などを使用してください。 ポリエステルなどのモダンタイプのニスが使われているアンティーク家具は、液体やアルコールなどについて前記したケースには特に注意する必要はありません。 あなたのアンティーク家具にどの仕上げ材を使われているかは、販売元に確認しましょう。 全てに共通して、水分を長時間放置することはもちろん、太陽光に直接当たる場所に置くことなども避けましょう。仕上げ材の変化の他、木材の変色なども引き起こします。アンティーク家具にまつわる言葉の解釈について
<”リノベーション・レストレーション・コンサベーション”で混乱しないために。> リノベーション:古いエタノールニスを取り除いたあと機械や人工接着剤、油性塗料などを使って磨いたり仕上げ材を塗布したりする、現代的な修復の方法です。 コンサベーション:修復までする必要はないが少し手を加えることで、良い状態をキープすることです。たとえばアンティーク家具を綺麗にクリーニングしたり、少し木が浮いているところを張り合わせたり、 ニス仕上げがされている家具にワックスを塗ることで、そのニスの効果を守ったりするのもコンサベーションです。 レストレーション:天然素材の染料や材料を使って伝統的な方法で修復・リメイクすることです。 本来専門書などの上ではこのようなくくりで分かれる言葉ですが、現代においては厳密に全てをその通り徹底することは難しく、リノベーションとレストレーションがミックスされている場合も少なからずあります。 <リバーシビリティー>: 現代のアンティーク家具のレストアにおいてもっとも大切なことは、その家具自体にダメージを与えずに元の状態に戻すということでしょう。それは現代まで残された貴重なアンティーク家具をこの先また何十年と引き継いでいくためにとても重要なことです。 天然素材の材料を使ったり手作業の伝統的な方法でレストアを施すことで木材へかかる負担も少なくすることができ、アンティーク家具を守ることになります。 <パティーナ>: パティーナとは使用環境(湿度や太陽光など)による影響、使用感(染みや傷)、時間経過などによってアンティーク家具の表面の色や質感、コンディション、仕上げ材の状態が変わること。いわゆる経年変化ですアンティーク家具に使われる天然素材の材料のご紹介
<糊・にかわ>: アンティーク家具に使われる糊のうち、伝統的なものは、動物から作られた二種類の糊です。それは何千年も昔、太古の時代より使われているものです。 一つは”ストロンググルー(強い糊)”と呼ばれ、動物の腱や骨からつくられたものを、温めてリキッド状にして使います。 もう一つは魚の糊で、魚の内臓など様々な部位からつくられています。 私のお店のアンティーク家具には、これらの伝統的な糊だけを使用しています。 例えば将来に再び修復するときにこれらの糊は水で簡単に剥がすことができ、古いアンティーク家具の木材にも負担をかけることがなく、その結果また何十年と引き継いでいけることになります。 <染料>:

パッキング方法について

アンティーク家具の分類方法について
一般的に、家具はその用途によって分類(たとえば単純に椅子、テーブル、デスク・・など)されますが、 Roubo氏(後記”フランスの有名な家具職人たち”参照)によると、その用途的分類を無視して言うならば、アンティーク家具は二種類に分けることが可能だと言います。 それはその構造によって分けることです。 一つは骨組み材のみで作られるのもの。例えば椅子、テーブル、ビューロー、ベッドなど もう一つは、骨組み材プラス パネル材を使ったもの。例えばチェスト、ワードローブ、ライティングデスクなどです。 私はホームページのカテゴリーを、一般的な用途的分類にRoubo 氏の構造的分類もプラスして作成しています。アンティーク家具の仕上げ材とその時代について
ワックス:専門書で見ると、現代に残されたアンティーク家具に使用されている仕上げ塗料のうち、最も古くに使われていたのは、ワックスです。少なくとも18世紀、 もしくはそれ以前より、アンティーク家具や天然木を使う家具に使われていました。ワックスは仕上げ材として弱いと言われることもありますが、何十年も前に造られ、 現代まで素晴らしい状態で残されているアンティーク家具たちを見れば、アンティーク家具を丁寧に正しい状態で使用している上では、ワックスが弱いという説は否定できる部分もあるでしょう。
アンティーク家具によく使われている木材について

アンティーク家具の、伝統的な方法での仕上げ塗装につかう道具について
ペイントブラシ:これはアンティーク家具の仕上げに使われる道具のうちもっとも伝統的なものです。リキッド状の柔らかいワックスを塗布するのにも使用できます。また木を染色することにも使います。 タンポ:こちらはアンティーク家具のレストアをするにはとても使い勝手の良いツールです。フレンチポリッシュやニスのポリッシング、ワックスポリッシング、木材の研磨など、その用途は多岐にわたります。 コットンファイバー:こちらも様々なものに使用します。木の染色をしたり、ワックスやニスを塗布するのに使います。 スポンジ:海綿でできた天然素材のスポンジがあります。ニスの塗布に使えることをNosban氏も著しています。木の染色にも使えるでしょう。フランスの有名な家具職人たち
Pierre Othon ピエール・オトン:彼は1760年にマスターとなった家具職人です。私のお店にも彼のサインが入ったチェアがあります。 André-Charles Boulle アンドレ=シャルル・ブール:彼はアンティーク家具に使われている真鍮や鼈甲(べっこう)細工の権威として知られています。 Jean-Francois Oeben ジャン=フランソワ・オエベン:彼は1759年にマスターとなった家具職人で、トランジション様式のキーパーソンとして知られます。 私が好きなマーケトリーの一つ、3Dキューブ型の寄木細工を用いた家具を多く製作していました。
アンティーク家具について書かれた専門書
